知人の持山でブッシュクラフトを体験
コロナウイルスの影響で、人が集まる街中ではなく、自然豊かな場所でレジャーやソロキャンプを楽しむ人々が増えている昨今、Youtubeなどで配信されるキャンプ動画を目にし、自分も行ってみたいと思いつつも、道具を揃えたりスポットを探したりと、忙しい日々の中で何から始めたら良いものかと足踏みしていました。そんななか、なにげなくinstagramのストーリー欄を見ていると、先輩がキャンプの写真を定期的にアップしているのを目にし、同行させてもらえないかと声をかけたところ、2週間ほど後の晴れた冬の日、道具や装備を何も持たない自分のためにすべて用意してくれ、先輩の友人が所有する山での野営を体験させてくれ、必要な道具や、どうのように始めたを教えてくれました。これはそのメモと体験記を合わせた日誌です。
キャンプではなく、「ブッシュクラフト」
体験の中で教わったことですが、彼らがやっているのはキャンプではなく、「ブッシュクラフト」というものだそうです。ブッシュクラフトは、キャンプのために整備された場所ではなく、あるがままの野山や川岸などで野営しながら、自然の中で生きる術を培っていく行動、技術のことを指すそうです。家族や友達で団らんと楽しむものではなく、自然の中で快適に過ごしていくことを追求していくことに楽しさを見出していくもののようです。
この日は先輩と、先輩とよくブッシュクラフトをしている友人で、山の持ち主のふたりに同行させてもらいましたが、テント、食事などはすべて別々で、各々が黙々と作業をしていました。自分にとってはとても新鮮で、お互いの安全さえ確認できていれば、基本的に他人に気を使うことなく、自分のしたいことに集中でき、気が向いたときだけ話をしたり、作った料理の自慢などをし合える気軽さは素直に良いものだと感じました。
山の麓のはっさく畑跡地で野営準備
ブッシュクラフトを行ったのは、車を駐車できる平地から1分ほど登ったはっさく畑の跡地。今回は必要な装備が無くカメラなどの機材を持った自分がいるので、いつでも車に引き返せる近場にしてくれました。仕事の関係で日暮れ頃に着いたのですが、ふたりはお昼過ぎにからずっと薪割とはっさく狩りを楽しみ、テントの設営を行っているところでした。自分のテントはすでに設営済みで、感激しました。
テントと素材について
ふたりのテントは薪ストーブを設置できるものでした。手際よく煙突やストーブの設置を済ませると、各々薪を切りそろえたり、丸太を加工してお手製のミニテーブルなどを自作していました。薪ストーブに火が灯ると一気にテント内が暖かくなりました。
薪ストーブや焚き木など、テントの内外で火の粉が発生する環境でポリエステルのテントを使っていると火の粉ですぐに穴が空いてしまうそうです。ポリエステルのテントの利点はなんといっても軽さと防水性です。車から野営地まで長距離を歩く際に、荷物の重さは重要な要素になります。登山の際などはポリエステルのテントに圧倒的な軍配が上がりますが、ブッシュクラフトの場合は多少重たくてもコットンテントの方が良さそうです。ただしコットンのテントは雨天時水を吸収してしまうので、別途防水シートを用意する必要があるとのことでした。
それぞれ食事作りと食器について
テントやストーブの準備が整うと、ふたりはそれぞれ料理を始めました。ひとりは白米ともつ鍋、ひとりはビーフシチューと、両極端の料理でした。ナイフや食器を使って食材をカットし、薪ストーブの火か、焚き木の火で煮込みます。食材を煮込む鍋や、できたスープやお茶を入れる食器は金属が多いですが、これも用途に応じてステンレス、アルミ、チタンを使い分けると良いそうです。
アルミ
アルミの食器は軽くて熱伝導率が高いことが特徴です。持ち運びに適し、加熱も早いので素早くお湯や料理を加熱するのに向きます。火から離すと比較的短時間で冷えるので、柄の部分もすぐに持てるようになります。反面保温性や耐久性は弱いので、スープなど長時間温めておきたいものを扱うときには不向きで、乱暴な扱いには不向きです。値段が安いのも利点ですね。
ステンレス
ステンレスの素材は保温性、耐久性に優れ、値段も比較的安いそうです。ただし重さはアルミ、チタンよりも重く、持ち運びには適さないそうです。登山や長距離の移動には向かないみたいですが、ブッシュクラフトには使えそうです。上で上げたアルミと性能の面で対照的です。
チタン
チタンは軽さ、保温性、耐久性に優れた素材です。熱伝導性が少ないようなので料理を加熱するには時間が掛かりそうですが、3つの素材の中で最も軽く、ステンレスの1/2程度の重量のようなので、長距離の移動には必需品と言えそうです。ただし値段は高いようなので、ある程度近場でのブッシュクラフトには無くても良さそうです。
この夜は先輩の白米ともつ鍋をご馳走になりました。鍋にたっぷりのもつともやし、油揚げ、厚揚げ、千切りのキャベツ、そしてもつ鍋の素で味付けして煮込むだけ。焚き木で煮込んでいるせいか、香ばしさも加わって格別に美味しかったのを覚えています。白米には地元のちりめんをかけて美味しくいただきました。
もう一度お腹が空いてくる
お腹いっぱいになったところで、先輩から、30分くらいでもう一度腹が減ってくるよと言われました。まさかと思いましたが、本当にお腹が空いてきました。しいたけの醤油焼きと、ソーセージを焼いて食べました。これも見越して食材を用意しておかないといけないと学びました(笑)
就寝とマット、シュラフ、カイロ
食事が終わると23:00頃でした。少しゆっくりした後、それぞれ寝る準備へ。テントの中でシュラフ(寝袋)にくるまって寝るのですが、その間には必ずマットを敷かないと、地面が硬くて凸凹しているため痛くて寝られません。
薪ストーブは温かく、換気のための煙突も付いていますが、家庭に備え付けられている薪ストーブほど完璧ではなく、一酸化炭素中毒や火事の危険もあるため、就寝前には消すか、すぐに消える状態まで火を弱めておくそうです。この日は比較的暖かい日でしたが、夜の冷え込みは想像以上でした。
シュラフ(寝袋)
寝袋はシュラフと呼ばれ、主に温かい環境に適したレクタングラー型(封筒型)、寒い環境に適したマミー型(人形型)、動きやすい人型などがあるそうです。冬のこの日はマミータイプが良く、商品ごとに対象となる温度が異なるので現地の夜の気温をしっかり把握して選ぶと良さそうです。この日の気温は推定5℃。シュラフだけは自分で持って行きましたが、封筒型であったため、着込めるだけ着込んでいたつもりでしたが、途中寒さで目が覚めました。ただ、マミー型のテントを使っていた先輩も、夜は寒いのでカイロを足の裏に貼って寝ているようだと教えてくれました。冬の貼るカイロは必需品です。
夜中に目が覚めて
今回のブッシュクラフト体験で最も印象に残ったのは、夜中テントの中で目が覚めた時でした。目を開けても閉じても真っ暗闇だったので、失明したのかと焦りました。また、体の芯から冷えていました。寒くて真っ暗、外は静寂の中、動物の鳴き声や、何かが動く物音がするのですが、不思議と不快ではなく、新鮮な印象が強かったです。持ってきていた予備の服を着こみ、シュラフを隙間を閉じると少し暖かくなり、朝まで眠れました。先輩によると、仲間と予定が合わないときは、新調した装備や道具を試したくてひとりで野営することもあるそうです。最初一人で泊まったときは、本当に心細くずっと焚き木に薪をくべたりしてほとんど寝られなかったそうですが、そうやって数を重ねている間に、醍醐味が分かってくるとのこと。
朝食をいただき、完了
朝起きると、テントの煙突から煙が出ていました。先輩がクラムチャウダーとパン、そしてコーヒーをご馳走してくれました。至れり尽くせりで頭が上がりません・・・。登山に比べブッシュクラフトで荷物を軽くすることの優先度は少しばかり低いですが、それでも出来るだけ軽くするのは鉄則です。食事や飲み物も、インスタントや簡潔なものも使ってメリハリを付けるのは大切ですし、自然の中で食べるインスタントスープやコーヒーもたまらなく美味しいです。以上が人生最初のブッシュクラフトの体験でした。この機会を与えてくれたお二人に深く感謝です。
野山自体が野のもの
今回の体験で、ブッシュクラフトは定期的に行いたい素晴らしいものだということが分かりました。自然の中で自分のペースで野営するのは大変ではありますが息抜きになるし、映像・写真映えもします。こんな良い環境を与えてくれる野山は、そのものが地のものだと感じさせてくれます。
いきなりふたりのように手際良くは出来ないでしょうが、まずは必要なものがある程度把握できたので、以下のようなものを揃えて行ってみたいと思います。
最初に揃えようと考えてもの
- テント
- マット
- シュラフ
- バックパック(70l)※撮影機材もあるので大き目
- 食器(アルミでコンパクトにまとまっているもの)
- ファイアスターター
- ナイフ
- のこぎり
- ランタン
- LEDライト
- 靴・衣類
- 虫よけスプレー
次はふたりの足を引っ張らない程度は自分でやりたいと考えています!