2021年1月に西日本を襲った大寒波は、多くの農作物に深刻な被害を与えましたが、編集部のある山里で最も多く嘆かれていたのが、庭に植えていた大きなレモンの木が枯れてしまったというものでした。葉野菜などが強い冷気に当てられると縮んで枯れてしまうのはイメージしやしですが、レモンやミカンなどをたくさん実らせるほど大きく育った果樹でも、一定以下の低温に一晩も置かれれば、あっけなく枯れてしまうものなのです。
品種によって存在する明確な耐寒温度
果樹などを植える場合、その土地の長期的な期間の最低温度にも気を配り植えておかないと、今回のようにまれな低温によって大切な木を枯らされてしまうことがあるので注意が必要だと学ばされます。多くの実を実らせるまでレモンの木が育っていたことを考えると、少なくても5年以上はこのような寒波が来なかったのだろうと伺えます。
同じ地域では、昭和50年代後半に一帯を襲った大寒波により、それまで地域の主軸産業であったみかんの木々が一斉に枯れてしまったと言います。冷害を体験した地元農家の人のお話によると、枯れたみかんの木はすべて一定以上の高所のもので、無事だった低所の木との境目に直線を引けるくらい明確だったそうです。その例外を機に、この地域ではみかんよりも寒さに強いすだちの栽培に切り替える農家が増え、新たな地域の産業になったと言います。
木が寒さに耐えられる限界の温度を「耐寒温度」というそうで、レモンの木の体感温度はマイナス2~4℃、みかんの場合はマイナス6~6.5℃に3時間以上晒されると被害が出始めるようです。
最後のレモンを使って
今回山小屋のレモンの木がもたらしてくれた最後のレモンは、寒波に見舞われる直前に収穫・保存されていました。山小屋の人々がチェッロとシロップにして、末永く大切に楽しむことになりました。動画や作り方は後日配信しますので、お楽しみに。