田舎に移住し、畑仕事を行ってきたもつさんが、近所に住む漬物歴60年の名人、さかえさんから畑で採れた大根を干してたくあんを作る方法を教わります。村に古くからある冬の大根「冬自慢」という大根は、煮物にすると味が染み込んで美味しい大根になります。トータルで1年近くになるたくあんづくり。今回は、大根の収穫から干すところまでをご紹介します。
育て方のポイント
①間引き
大根は白い部分がまっすぐに伸びていて、丸みがあるものが良いとされています。良質な大根に育てるには、ある程度の大きさに成長した大根を、あえて一本抜いておく「間引き」が必要です。隙間なく大根を植えてしまうと、栄養が行き届かず、成長の妨げになってしまうからです。この間引きした大根から生えている大根葉を「おねば」と呼び、栄養満点の葉野菜として使う地域もあり、おひたしなどの料理にして食べると心地よい苦味と食感が非常に美味しいです。
②土づくり
すくすくと土の中で成長する大根ですが、砂利や石などの不純物があると遮断され、そこで成長が止まってしまいます。タネを植える前の準備期間に土の中の不純物をできるだけ除けた状態にしてから植え付け始めると、後の手入れがスムーズになりより質の高い大根ができます。
大根の収穫
収穫のタイミングと手順
大根はおよそ2ヶ月ほどで収穫を迎えます。大根の葉がしっかりと立ち、土の中から成長した青白い大根が見えると収穫のタイミングです。大きく育った大根の根元を掴み、両手で真上にまっすぐ引き抜きます。収穫のタイミングが遅れると、水分量が少なくなり、中に空洞ができる「ス入り」の原因になってしまいます。収穫が不明確な場合は、数本抜いてみて、切ってみて確かめると良いでしょう。ベストのタイミングで採れた大根はみずみずしく絶品です。
泥を落とす
収穫した大根の泥を落としていきます。今回は大根にあまり土がついていないので水洗いせず、軍手で優しく泥を落としました。藁を使って落とすと、傷つけずより綺麗に落とせるそうです。
大根葉
食べられずに捨てられることが多い親葉ですが、野菜の中でも一番栄養価が高い部分です。今回は大根を干す際に必要となるので、作業中に傷つけないように注意します。
①芯葉を取り除く
葉っぱの中心にある芯葉を残しておくと、干した後も成長して味を落とす原因になります。片方の手で芯葉をしっかりと掴み、もう片方の手で大根の白い部分を持ちます。芯葉を自分の方へ向いて一気に引っ張り、葉を引き抜きます。芯葉は手順に沿って取らないと、途中でちぎれてしまうので、動画で確認すると文章よりもより明確でわかりやすいです。
②塩をすり込む
引き抜いた芯葉の茎部分に塩を揉み込んでおきます。こうすることで、新たに葉が出てくるのを防ぐことができます。周りの親葉に塩がつかないように注意しながら作業します。
大根を干す
紐で結ぶ
用意した麻紐でを使い、葉の部分を傷つけないように注意しながら、大根4本をまとめて結んでいきます。二人で作業を進めると広がった葉を簡単に結べて作業が捗ります。
吊るし竿に干す
干す用に用意した竿に大根を等間隔にそっと吊るします。両サイドに太陽があたるように、物干し竿の角度を調整すると良いそうです。大根の数が多くない場合、ある程度間隔をあけて干すと、影ができず全体的に太陽があたり、より均等にきれいに干すことができます。
冬の冷気で乾燥
ここから2週間、冬の冷気にあて、しっかりと乾燥させます。干した大根を漬け込む様子を「漬物名人に教わるたくあんづくり Part.2 – 宮商店 村の台所」で紹介します。