2021.4.9 | 遊ぶ

名人に学ぶ山菜の王様「タラの芽」収穫の心得

山菜、温かくなると一斉に芽吹き、近隣に住む人々に収穫の楽しさや、食卓に季節の味わいを運んでくれる、野山からの春の恵み。そんな山菜の中でも特に美味しく、「山菜の王様」と呼ばれるタラの芽は、歯ごたえと淡く爽やかな風味がたまらない早春の食材です。近隣の山々で子どもの時から山菜狩りをしてきた山菜名人が、職場の若者たちにタラの芽の正しい収穫方法と、調理法を伝授する日に、地のものクルーも参加させていただきました。

※タラの芽の採取と取材は、持管理団体の許可を得て行っています。無断で私有地で採取などはしないように注意しましょう。

先端からぴょこっと出ているのがタラの芽。このくらいのサイズが食べごろ

タラの芽採りの心得

タラの芽は山間部の道路脇や、大きな木があまり生えていない場所でよく見かけます。細長く、鋭いトゲに守られたタラの木の上部に生えるタラの芽は、道具無しで収穫しようとすると痛い目に合い、木を根元から折ってしまったり、意図せず枯らしてしまうこともあります。タラの芽はそんなに珍しい木ではありませんが、地域で生える量には限りがあるので、なるべく木に負担をかけずに収穫し、できるだけ多くの人が繰り返し楽しめるように心掛けることが大切です。ここではタラの芽採りの際に意識する心得をいくつかご紹介します。

高い場所に生えているからといって高枝切りばさみで切ると、木を枯らしてしまう

高枝切りばさみは絶対にNG!

タラの木は1.5から3mほど、高いものだと4mになることもあり、生えている場所も山の斜面などが多いため、高枝切りばさみなどで採ろうと考える人が多いですが、タラの芽は「切って」収穫すると次に生えてこなくなり、そこから枯れてしまうため、絶対にNGです。もちろん枝切りばさみやのこぎりなど、切るものは同様に使ってはいけません。逆にタラの芽の根元から「折って」採ると、また新たな芽が生え、次の年も同じように楽しめます。

ウツギの木。タラの芽の根元に引っかけ、ねじって折ったり、木を手繰り寄せて使う

タラの芽を採る道具 – ウツギと厚手袋

タラの芽はを収穫するには高さがあり、先端がL字またはT字になっている棒状の道具が最適です。今回は近くで見つけたウツギという木の切れ端を使いました。中が空洞になっていて軽いのが特徴です。根元に引っかけ、そこを軸にねじってやるとパチッと簡単に折ることができます。

試行錯誤しながらタラの芽を収穫する若者たち。「童心にかえれる楽しさ」とのこと

場合によっては木の少し下に引っかけ、手繰り寄せて手で芽を採ることもできます。タラの芽と木は鋭いトゲに覆われていることが多いので、厚手の手袋は必須です。一本一本生えている状況が違うので、その木に合った道具と攻略法を考えて採ることが山で遊ぶ楽しみのひとつです。

根元から折る

タラの芽は根元の太い部分が特に美味しく、歯ごたえも抜群です。葉の部分だけでもおひたしなどにして美味しく食べられますが、根元ごと採るのに越したことはないので、出来るだけ根元から折るようにしましょう。ウツギの木などを初めて使う場合、失敗して何度か葉だけ落としてしまうこともありますが、何度か試行錯誤している間に要領がつかめてきます。

必要な分だけ採る

上でも書きましたが、タラの芽などの山菜はひとりで採り過ぎると他の人が採る分が無くなってしまいます。私有地以外に生えているタラの芽は基本見つけた人が採って良いですが、出来るだけ多くの人に楽しんでもらえるよう、木をできるだけ傷つけない、自分が必要だと決めた分だけ採ることを心がけましょう。タラの芽の寿命は長くなく、同じ年の2回目の芽を採ると枯れてしまう木もあります。木が弱っているようであればあえて採らないようにするなど、木を労わりながらタラの芽を採るようにすることが山菜狩りの重要な心構えです。

このくらいの大きさになると食べ頃は過ぎているが、先端は食べられる

食べ頃のタラの芽

タラの芽は、あまり大きくなり過ぎると硬くなり食べにくくなるので、葉が広がる前の小さい状態のものが食べ頃です。ただ、大きくなっていても比較的軟らかい先端部分は食べられるので、タラの芽が気に入った人は上の写真くらいの大きさのものであっても収穫してみてください。

収穫したタラの芽(一部)

タラの芽を天ぷらに

最初は試行錯誤したものの、徐々に慣れてきて大収穫に終わりました。収穫したタラの芽は、山小屋に持ち帰って皆でいただきます。食べ方は、おひたしという手もありますが、初めての人に楽しんでもらうにはやはり天ぷらでしょう。天ぷらを作るポイントはこちら

タラの芽

タラの芽は、山に生えるタラの木から春に生える新芽で、爽やかな風味と食感の良さで「山菜の王様」と呼ばれます。山の斜面に自生する天然のタラの芽は、収穫も楽しく、春の訪れを感じさせてくれる風物詩であるため、毎年山菜好きを魅了しつづけています。山間に住んでいてタラの芽の味を知らないことは損だと言っても過言ではありません。 山肌から生えるタラの芽 タラの芽は、大きな木を切った後の山肌に生えることが多く、山道を車で登っていると道路脇などに見かけることがあります。比較的短命で、その寿命を終…

ドフドフ原と漁師

「Cabanon ドフドフ原」と名付けられたこの山小屋は、使われなくなっていた古民家を、近隣の人々によって改修して作られました。山々と柑橘畑に囲まれたそこでは気の知れた漁師やその仲間、家族が、近くの野山や川で採れた野菜、魚、肉が持ち寄り、囲炉裏を囲んでにぎやかな夜を過ごしたり、昼間は、伸びすぎた近隣の木を伐って薪を作り、焚火をして魚や肉を焼いたり、景色を見て珈琲を飲んだりする自由で優しい時間が流れます。 地のものを楽しみ追求する場所 様々な地のものが持ち寄られるこの場所は、そ…

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